活動報告

【調査研究助成】近畿大学 今井 喜胤 准教授の研究報告サマリーをご紹介します。

【研究者】
近畿大学 理工学部 応用化学科 今井 喜胤 准教授

【研究テーマ】
ICTによる食糧増産のためのLED開発

【研究期間】
2019.4.1〜2022.6.30


【研究報告サマリー】
ICTを支える技術の一つに円偏光がある。円偏光とは、キラリティーを有する回転する光(CPL)のことで、右回転の光と左回転の光、二種類存在する。植物を構成するセルロース、タンパク等はすべてキラリティーを持った光学活性な物質である。このため、植物の成長度合いは左回転と右回転のCPLで異なっており、より成長を促進する CPL を植物に照射することにより、効率的かつ経済効果の高い栽培が可能となる。
本研究では、まず、CPLを発する発光体を開発した。この際、発光体に外部から磁場を印加するという新しい手法により円偏光を発生させることに成功した。さらに、この手法を実際の有機ELに導入し、外部から磁場を印加することにより、円偏光を発する磁気有機EL(MCP-OLED)のプロトタイプの開発に、最後成功した。将来的には、この研究助成のテーマをさらに進め、実際の食物栽培にこのMCP-OLEDを用い、食糧増産を含めたSDGsに貢献したい。


【本助成研究にかかわる成果】

Control of Circularly Polarised Luminescence Using a Suitable Wired Structure Connecting a Binaphthyl with Two Pyrenes – Hara – 2019 – ChemistrySelect – Wiley Online Library

Circularly polarised luminescence (CPL) control of oligopeptide–Eu(iii) hybridized luminophores by interaction with peptide side chains – RSC Advances (RSC Publishing)

Non-classically Controlled Sign in a 1.6 Tesla Magnetic Circularly Polarized Luminescence of Three Pyrenes in a Chloroform and a PMMA Film | Chemistry Letters (csj.jp)

Excimer-origin CPL vs. monomer-origin magnetic CPL in photo-excited chiral binaphthyl-ester-pyrenes: critical role of ester direction – Physical Chemistry Chemical Physics (RSC Publishing)

Processes | Free Full-Text | Development of Circularly Polarized Luminescence (CPL) Peptides Containing Pyrenylalanines and 2-Aminoisobutyric Acid (mdpi.com)

Magnetic Circularly Polarized Luminescence from PtIIOEP and F2‐ppyPtII(acac) under North‐up and South‐up Faraday Geometries – Matsudaira – 2021 – Chemistry – An Asian Journal – Wiley Online Library


【本助成についての感想】

2020年以降、研究・教育システムのコロナ感染症対応に追われる中で、KDDI財団の支援により、安心して研究を実施することができました。そのようなコロナ渦、研究計画等の変更に対し、迅速に御対応いただきましたこと、あらためまして、深く感謝申し上げます。