【研究者】
東北大学大学院 情報科学研究科 河村 和徳 准教授
【研究テーマ】
ICT を活用した危機に強い地方議会の構築
【研究期間】
2021.4.1〜2023.3.31
【研究報告サマリー】
本調査研究では、ICTを利用した危機に強い地方議会をつくるために必要な資料を収集し、制度的な改善点を提示することが主たる目的である。研究では、ヒアリング調査に加え、全国市区町村議会事務局に対する悉皆郵送調査(事務局調査)、全国市区町村議員に対する意識調査(議員調査)などを実施した。
それらの調査の結果から、
(1)デジタル技術に対して前向きな議員が多いものの、70歳以上を中心にその活用を忌避する者もいる、
(2)財源やデジタル人材の確保の困難さや、弱い議会の権限がデジタル化を阻む要因となっている、
といった知見が得られた。また、(3)セキュリティに対する姿勢もデジタル化の推進に影響していることが確認された。
地方議会のデジタル化は、「ふれる」段階から「つながる」段階、そして「オープンドキュメントを活用する」段階に進むと考えられる。日本では第二の段階に留まっているが、デジタル化が進んだ韓国では第三段階に着手する議会が出始めている。今後は、日韓の差は何で、それをどう埋めるのか、技術開発を含め検討したいと考える。
【本助成にかかわる成果】
<論文等>
<研究成果のアウトリーチ>
- 被災地選挙の諸相(83) 震災・コロナ禍の記憶・経験は活かされているか―全国市区町村議会事務局調査の結果から / 被災地選挙の諸相(84) 全国市区町村議会事務局調査にみる地方議員のなり手不足に対する取り組み状況
- 全国都道府県議会議長会都道府県議会デジタル化専門委員会(報告書)
<報道>
【本助成についての感想】
地方議会のデジタル化は、明治以来の議会のあり方を変える大きな変化である一方で研究の蓄積が乏しいテーマでした。そうした状況の中で助成をいただき、調査研究ができたこと非常に感謝しております。
調査で得られた成果は議会のデジタル化を進めるための根拠資料としても活用することもできました。研究のアウトリーチの面でも、よい経験をさせていただきました。ありがとうございました。