活動報告

【調査研究助成】大阪公立大学 岡 育生客員教授の研究報告サマリーをご紹介します。

【研究者】
大阪公立大学  岡  育生客員教授

【研究テーマ】
視覚障がい者が景色を聴くための可聴域変調方式に関する基礎研究

【研究期間】
2021年4月1日 ~ 2024年3月31日

【研究報告サマリー】
本研究では,視覚障がい者が周囲環境を認知できる支援システムの実現を目指し、景色を心地よい聴覚情報へ変換する可聴域変調方式を開発した。LIDARで取得した景色の深度画像情報を聴覚情報の音情報に変換した。音情報から画像情報を認識することは容易ではなく、相当の疲れを伴う。このため、心地よい音を生成することとし、画素の深度をパルスの幅ならびに強度などに変調した上で、周波数変調として、画素の掃引とともに出力するメロディーを組み込んだ。「カエルの歌」と「森のくまさん」のメロディーを用い、音色としては、正弦波、ピアノの単音、音像定位を利用したピアノの単音、ならびに、情報量を増大させるための和音の4種を採用した。晴眼者がアイマスクを着用して実験し、ユーザビリティ調査を行った結果、メロディーを用いることで、心地よく景色を想像できることが明らかとなった。このほか、視覚障がい者アーチェリーにおける的方向の認知への応用、周囲360度の障害物認知への応用についても評価実験を行い、その効果を検証した。


【本助成にかかわる成果】
電子情報通信学会技術研究報告URL

【本助成についての感想】
視覚障がい者の支援システムに関しては、道案内等の実用化研究が多い中、景色を聴くという環境認知の基礎研究を助成していただき、心より感謝いたしております。聴覚インターフェイスにおける可聴域変調の有効性、重要性を明らかにすることができ、今後の発展につなげたいと考えております。