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活動報告

2019年度調査研究助成 東京大学 中川 聡さんの研究報告のサマリーをご紹介いたします。

【研究者】
東京大学 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻
博士課程1年 中川 聡

【研究テーマ】
見守りロボットのためのQoL推定システム

【研究期間】2019.4.1 ~ 2020.3.31

【研究サマリー】
高齢者福祉では,支援対象となる高齢者のQuality of life(QoL)向上に努めるべきだとされる。QoLは健康状態だけでなく,精神状態や社会的活動なども総括した指標である。
支援対象者のQoLを正確に把握することで、QoL向上の促進や支援手法のパーソナライズ化が可能となる。従来のQoL測定法における課題の解決と、さらに高齢者見守りのための知的ロボットによるユーザの状態に基づくインタラクション体系の構築を目的として、対話エージェントがユーザとのコミュニケーションを通じて得られるマルチモーダル情報からQoLスコア推定を行うシステムを構築した。自由対話が可能な会話エージェントを実装し、それを用いた対人実験により独自のデータベースを構築した。
深層学習アーキテクチャを実装し、学習推定実験を行った結果、提案システムが十分小さい誤差で推定可能であることが判明し、マルチモーダル情報を用いることがQoLに関する高次元な情報を抽出することに有効であることを示した。

【本助成についての感想】
助成金のおかげで研究を円滑に進めることができただけでなく、念願の海外研究機関への研修を実現させることもできました。自身の成長に関しては,研修先の研究機関の一員として身を置き、すでに国際的に活躍している研究者のもと、研究現場の最前線に触れる機会を持ちました。将来リーダーとして他者を引っ張る際に必要な自身の資質を生かしたスキルの体得、新たな価値観の習得、および縦と横の両方の繋がりの形成を実現させることができました。また、研究成果に関しては、KDDI財団調査研究助成により得られた研究成果をまとめた論文が査読を通過したため、近々学会で発表する予定です。
KDDI財団のご支援がなければ、自身の成長および今後の研究人生につながるこれらの成果をあげることができなかったと考えております。また、研修先で受けた自身の研究の評価からその重要性を自覚し、さらに知的探究心を満たしたいという意欲から、研究を継続させるために今年4月より博士課程に進学いたしました。今後も新しい知見を発見するために研究職を目指し,社会に知的貢献できるよう精進してまいります。

KDDI財団調査研究助成のおかげで、研究を遂行するのにかかる費用という大きな不安要素が取り払われた結果、国内外問わず積極的に研究活動を展開することで、研究者としての道を切り開くことができました。最後になりましたが、ご支援くださったことに心より感謝申し上げます。