【研究者】
東北大学 応用認知神経科学センター 田邊 亜澄助教
【研究テーマ】
学習容易なICT画面の認知科学的評価開発
【研究期間】
2021年4月1日~2024年3月31日
【研究報告サマリー】
情報機器の発展で増加した複雑な視覚インターフェースは、高度な操作を可能にするが利用者には認知負荷が高い。われわれは、複雑な視覚情報を処理するヒトの認知機能の個人差について研究を進めてきた。ヒトが情報を取り入れるとき、一時的な情報の処理・保持システムであるワーキングメモリにおいて、必要な情報を選択し不要な情報を抑制する処理を行う。処理された情報は長期記憶貯蔵庫に送られ、永続的に記憶される。本研究では、画像の光学的な目立ちやすさが記憶の処理過程に与える影響を明らかにした。ワーキングメモリにおいては、目立ちやすいが課題に無関連な情報は注意を惹きつけやすく、注意の修正に大脳の上前頭回が関与していることが示唆された。また、無関連部分に注意を惹きつけられた場合、ワーキングメモリ課題で記憶エラーを起こす可能性が高くなるが、こういった情報は抑制され長期記憶に残らない傾向があることがわかった。
【本助成にかかわる成果】
Control of bottom-up attention in scene cognition contributes to visual working memory performance
【本助成についての感想】
研究助成をいただけたこと感謝申し上げます。研究開始初期はコロナ禍と重なってしまい、ヒト対象実験が実施できるのか不安になった時期もありましたが、柔軟な運用が可能だったおかげで、研究を遂行することができました。
今後、得られた知見をもとに「ユーザフレンドリーな視覚場面」について検討を重ねていきたいと考えております。