活動報告

【調査研究助成】九州産業大学 田中沙織准教授の研究報告サマリーをご紹介します。

【研究者】
九州産業大学  人間科学部  子ども教育学科 田中沙織准教授

【研究テーマ】
ICTを用いた身体活動環境評価の開発

【研究期間】
2022年4月1日~2024年3月31日

【研究報告サマリー】
本研究では、保育分野における、幼児の学びや成長を支援するICTの活用について、保育者間で合意しやすいビジブルな評価形式を導入し、デジタルデバイスを用いた幼児の身体活動環境評価システムとして、「身体活動環境ルーブリック自己評価システム」を構築した。
本システムでは、保育者間で評価結果を共有し、時系列の身体活動データを幼児が装着した活動量計から取得して比較することで、評価の客観性と妥当性を確保した。さらに、保育者の多忙な実情を考慮し、デジタルデバイスを用いた評価の入力と確認を保育中に容易に行えるようにした。
システム運用の結果から、子どもの性別・所属クラス・評価票の子ども主体の項目と身体活動の強度との間に正の相関が見られ、日常的に幼児の身体活動強度を予測する手がかりが得られた。さらに、保育者主体項目と子ども主体項目間にも正の相関があり、本システムを通じて保育環境の質を向上させることが幼児の主体的な身体活動を促進する一助となる可能性が示唆された。


【本助成についての感想】
この度は2年間に渡り、本調査研究に助成をいただき誠にありがとうございました。
コロナの影響もあり、近年ようやく教育環境でのICT機器導入が始まり、徐々に学びのためのICT環境が整いだしました。
保育所等の幼児教育環境は、業務負担の軽減を主眼とした利用に留まることなく、幼児の学びや育ちを支えるICTの活用に寄与するべく、
本助成にて得られた知見をさらに発展させていくよう今後とも努めてまいります。コロナ禍に保育施設で調査を行うことが困難な時期も
ございましたが、丁寧にご対応いただきまして、心よりお礼申し上げます。