助成事業

2016年度助成「NPO法人パシフィカ・ルネサンス」からの活動報告

ミクロネシア連邦、ナンマドール遺跡の世界遺産登録が決定!

私達は、太平洋に浮かぶ小さな島々、ミクロネシアにおいて伝統文化の保存・振興に取り組んでおり、今年度は失われつつある口頭伝承の映像により記録し、インターネットでの配信するプロジェクトに対してKDDI財団様から社会的・文化的諸活動助成を頂けることになりました。最近の嬉しいニュースは、私達が国際協力チームの一員としてミクロネシア連邦に対して技術協力を行ってきた、ナンマドール遺跡の世界遺産への登録が、7月15日に第40回世界遺産委員会において決定されたことです。
ナンマドールは、ポーンペイ島のサンゴ礁の浅瀬に玄武岩を積み上げて100以上の人口島が建設された古代の水上都市で、西暦500年頃に築造が始まり、西暦1200年から1500年にかけて、全島を治めていたシャウテレウル王朝の政治・宗教の中心として繁栄しました。この遺跡は、オセアニア地域では有名なイースター島のモアイ石像群とならぶ規模の巨石遺跡であるにも関わらず、伝統首長・土地所有者・州政府の間での遺跡の土地所有権をめぐる見解の不一致から、世界遺産登録への動きは停滞していました。こうしたなかで5年前からユネスコ大洋州事務所が、世界遺産への登録に向けて協力を開始したことにより、このミクロネシア連邦政府の長年の夢が実現に向けて大きく動き出しました。
私が加わった専門家の国際協力チームは、ユネスコへ提出する推薦書の作成や提出後のフォローアップへの協力を行いました。今回の登録に際しては、日本政府のユネスコへの信託基金がミクロネシア連邦政府による事業の推進源となったことにくわえ、継続的な支援体制や財政援助がない状況のなか、日本人専門家が国際協力チームに参加し、貢献できたことは幸運でした。ナンマドールは、遺跡の大部分がマングローブなどの植生に覆われ、遺跡の石積みの崩壊も進行しているため、今回、世界遺産と同時に危機遺産に登録されたように、この登録は最終目標ではなく、遺跡の持続可能な保存・管理への第一歩です。
地球の3分の1を占め、文化・歴史的にユニークなオセアニアには、財政的・人的資源の欠如から、まだ文化・複合世界遺産が9箇所しかありません。私達はこの登録により、当NPO法人が支援しているヤップ石貨地域遺跡(ミクロネシア連邦とパラオによる共同提出)をはじめ、他の太平洋島嶼国による世界遺産登録の努力に弾みがつくことを願っています。さらに自分達の先祖の遺産が国際的に認めらたことにより、ミクロネシア連邦や太平洋島嶼国の人々が彼らの文化・歴史を見直し、誇りを高めるきっかけになることを望んでいます。
(NPO法人パシフィカ・ルネサンス 代表理事 長岡拓也)

「最も精巧な構造の王墓の島」
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「約30トンある最大の石の一つ」
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