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活動報告

【調査研究助成】産業技術総合研究所 デバイス技術研究部門 小笠原 泰弘主任研究員の研究報告サマリーをご紹介します。

【研究者】
産業技術総合研究所 デバイス技術研究部門 小笠原 泰弘 主任研究員

【研究テーマ】
ウェアラブルのための低電力な曲がる回路

【研究期間】
2019.4.1〜2022.3.31

【研究報告サマリー】
今シリコンの石として作られている半導体回路を伸縮自在のフィルムの上に形成することができれば、電子デバイスの今のPC、スマートフォン、スマートウォッチ等よりももっと多様な形状のデバイスの開発が可能となります。
現在の課題は回路素子の安定動作電圧が数十Vという点で、私たちは電池で動かせるような3V程度の動作電圧で回路を安定して動作させる研究を進めています。研究開始当初は数素子でも動作が不安定でしたが、素子の形状を工夫して助成期間中に数十素子を安定して動作させることに成功し、さらに数百素子規模の動作に挑戦しています。数百素子ともなると安定して動作しているか評価するだけで大変で、人手で一個一個確認するわけにはいきません。そこで、動作が不安定な多数の素子を自動で評価する手法を開発しました。結果、現在一度に64素子を自動で評価することまで成功し、数百素子の安定動作に向けて開発を進めています。
今後、数百、数千素子の回路を動かし、徐々に実用的な回路を作り新しい形の電子デバイスを徐々にお見せできるようになればと思います。


【本助成研究にかかわる成果】

Yield and leakage current of organic thin-film transistor logic gates toward reliable and low-power operation of large-scale logic circuits for IoT nodes

Measurement of 64 organic thin-film transistors in an array test structure using a relay-switch board for efficient evaluation of long-term reliability


【本助成についての感想】

この研究は比較的応用寄りの研究なのですが、まだまだ地道な製造・実装・設計技術の研究が必要です。
すぐに実用化、というわけにはいかない一方、基礎研究とも言いづらいためなかなか研究資金が獲得できずにおりました。
そのような折に頂いた今回の助成で研究を大きく前進させることができました。深く御礼申し上げます。