【研究者】
岩手大学 人文社会科学部 立花 良 准教授
【研究テーマ】
VR酔いを防止する多感覚情報基準値の解明
【研究期間】
2022.4.1〜2025.3.31
【研究報告】
VR酔いの原因に直結する、VR実験環境や装置における遅延時間と、その統計学的な正確性と精度について、1ms (ミリ秒) 単位での評価テストを用いて実証した。とりわけ、人間がVRなど仮想空間上でどのような知覚・認知処理をするか、その際に安全基準ともなりうる、VR酔いに直結する感覚ごとの遅延時間について、視覚や聴覚、触覚など感覚ごとに刺激呈示および反応時間取得の精密な測定評価テストを用いることで網羅的に検討でき、VR酔い防止の基準となる呈示遅延と反応取得遅延の指標値を科学的に解明できた。主な研究成果内容として、視覚であれば約20ms、聴覚であれば約40〜60ms、触覚であれば約3〜50msなどの、VR酔い原因となる遅延時間が現代のVR実験環境では生じるため、実験における補正が必要であることを実証した。特に触覚の呈示遅延などは、今後のVRハプティックデバイスの開発や、デバイスによるVRコミュニケーションや行動科学実験の基本的な指標値となるため、重要な研究知見を得たといえる。
【本助成にかかわる成果】
【本助成についての感想】
本研究助成期間中は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響 (申請者自身も感染し一時的に研究活動中断を余儀なくされた) や世界的に生じた急激な物価高による装置購入難、申請者自身の任期による研究機関所属変更などで生じた研究計画変更にも対応してくださり、研究を進めることができ、大変助かりました。改めて、本研究助成をいただけたことに、深く感謝申し上げます。