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活動報告

2017年度調査研究助成 国立情報学研究所 北川 直哉特任准教授の研究報告サマリーをご紹介いたします。

【研究者】
国立情報学研究所 学術ネットワーク研究開発センター
特任准教授 北川 直哉
(前 東京農工大学 大学院工学研究院 助教)

【研究テーマ】
海上における携帯端末通信環境の実態調査

【研究期間】2017.4.1〜2020.3.31

【研究サマリー】
船舶事故のうち、プレジャーボートや漁船等の小型船舶による事故が全体の約8割を占めており、長年を通して常に同じ傾向にある。しかし,従来海上で使用される通信手段による海難防止の仕組みである船舶自動識別装置(AIS)機器は非常に高価であり、またSOLAS条約や国内法において小型船舶への搭載が義務化されていないため、事故件数の多い小型船舶の安全確保への利用は難しいのが現状である。

本研究では、小型船舶利用者が容易に導入可能なスマートフォン等の携帯端末が備える3G/LTEの通信環境について、スループットや遅延、エラー率、連続接続可能時間等の実態を国内外において詳細に調査し、海上における通信可能性を明らかにした。また、この知見を活用して、海難早期検出システムや、機械学習を用いた自動運航支援に向けたプロトタイプシステムを開発した。

【本助成研究にかかわる成果】

大島浩太, 古谷雅理, 北川直哉, 庄司るり「スマートフォンと生体情報センサを用いた小型船舶向け海難通知システム」日本航海学会論文集, 第136巻, pp.72-79/2017年7月

大島浩太, 北川直哉, 柏木岳彦, 近藤正樹, 古谷雅理, 庄司るり,「東京湾・浦賀水道海上におけるモバイルデータ通信の接続状況調査, 信学技報」 vol.117, no.354, IA2017-55, pp.13-17/2017年12月

Naoya Kitagawa, Kohta Ohshima, Tadasuke Furuya, Takehiko Kashiwagi, Ruri Shoji, “Measurement Report of LTE/3G Communication Environment in the Coastal Waters of Tokyo”, Proc. of International Symposium on Integrated Ship’s Information Systems & Marine Traffic Engineering Conference, Session3-2(9 pages), Sep. 2018.

黒田英明, 柏木岳彦, 古谷雅理, 大島浩太「東京湾海上におけるLTE通信環境調査」,信学技報, vol.118, no.466, IN2018-114, pp.181-186/2019年3月

黒田英明, 柏木岳彦, 北川直哉, 大島浩太「海上におけるLTEによる多重経路通信効率化のための通信環境調査」日本航海学会講演予稿集 Vol.7 (2019) No.1, pp.35-38/2019年5月

Naoya Kitagawa, Kohta Ohshima, Tadasuke Furuya, Takehiko Kashiwagi, Ruri Shoji, Measurement Report of LTE/3G Communication Environment in the Coastal Waters of Tokyo, European Journal of Navigation, Vol.17, No.3, pp.24-33, Dec. 2019.

大島浩太, 北川直哉「海上におけるLTE通信環境に関する海外事例」信学技報, vol.119, no.383, NS2019-170, pp.55-59, 沖縄県/2020年1月

近藤駿一, 黒田英明, 北川直哉, 大島浩太「機械学習を用いた船舶向け映像伝送負荷軽減方式の提案」信学技報, vol.119, no.461, IN2019-144, pp.393-397/2020年3月

【本助成についての感想】
海上における通信環境調査という新しい分野の研究に対して助成を頂き、大変有意義な研究を進めることができました。大変感謝しております。
今後も、本調査研究で得られた知見を応用した研究に取り組んで参ります。