【研究者】
東京電機大学 システムデザイン工学部 情報システム工学科 小篠 裕子 准教授
【研究テーマ】
デジタルなりすましを防止するフェイク検出
【研究期間】
2022.4.1〜2025.3.31
【研究報告サマリー】
本研究は、ハイパースペクトルカメラを用いた多様ななりすまし検出技術の開発を目的とした。当初、顔や物体のフェイク検出を試みたが、先行研究の発表により計画を転換した。高セキュリティ環境下でのなりすまし検出と、環境モニタリングにおける異物混入検出の2つのケーススタディを進めた。
ケーススタディ1では、金庫などの認証システムにおける照明条件の違いに着目した。ハイパースペクトルイメージングにより、認証時と登録時の照明条件の差異を高精度に検出し、不正アクセスを判別するシステムを提案した。独自データセットを構築し、メトリックラーニングに基づいた特徴抽出器でロバストな判別を実現した。この成果はFCV2025で発表され、Springerから論文が出版される予定である。
ケーススタディ2では、水中の無色透明な異物混入を「なりすまし」と捉え、ハイパースペクトルイメージングで微細なスペクトル差を捉えるデータセットを構築した。教師なし学習モデルによる異常物質検出への道を拓き、VISAPP2025で発表した。
当初計画からの変更はあったものの、本研究は柔軟な戦略転換により新たな課題を発見し、解決策を提案できた点で今後の研究発展に繋がる重要な成果を得た。
【本助成にかかわる成果】
- VISIGRAPP2025
20th International Joint Conference on Computer Vision, Imaging and Computer Graphics Theory and Applications - Anomalous Water Dataset Captured by Hyperspectral Cameras
- International Workshop on Frontiers of Computer Vision
【本助成についての感想】
この度は、貴研究財団より多大なる研究助成金を賜り、心より感謝申し上げます。当初の研究計画は、研究開始直後に先行研究が出てしまったことにより、困難に直面しましたが、この助成金があったからこそ、私どもは柔軟に研究戦略を転換し、新たな方向性へと舵を切ることができました。