【研究者】
東海大学 情報通信学部 高山 佳久 教授
【研究テーマ】
海中活動を促進する高速光無線技術の創出
【研究期間】
2022.4.1〜2025.3.31
【研究報告サマリー】
水中光無線通信は、従来よりも高速なデータ伝送を実現できる有望な技術である。しかし、水中環境における温度変化などによる屈折率の揺らぎは、光波面の歪みや光の伝搬方向の変動を引き起こす。この現象は、信号光による受信器の安定な照射を妨げ、通信の瞬断や符号誤りの増加などの要因となる。本研究では、この課題を克服するために、光の伝搬方向を補正する精追尾機能を組み込んだ受信系を構築した。本システムは、光位置検出器と高速駆動鏡の閉ループ制御により、水中環境の影響によって変動する信号光の伝搬方向を補正する。水槽を用いた距離4.5m、データ伝送速度500Mbpsの強度変調直接検波方式による通信実験を行い、信号光の伝搬方向の角度変動を1mrad以下に抑え、10分間の通信において符号誤り率を訂正可能な誤り率の限界値以下に維持することを確認した。精追尾の導入によって、水中光無線通信の安定性が向上することを実証した。
【本助成にかかわる成果】
- Mitigating Turbulence Effects on Bit Error Rate Using Fine Tracking System in Underwater
- Inverse nonlinear PAM4 modulation with high-power transmitter for extending transmission distances of underwater optical wireless communications
【本助成についての感想】
3年間の助成によって、今後の研究につながる実験を行う事ができましたことを感謝いたします。