活動報告

【調査研究助成】筑波大学 山本英弘教授の研究報告サマリーをご紹介します

【研究者】
筑波大学 人文社会系 山本 英弘 教授

【研究テーマ】
電子投票における法的・社会的課題の探究

【研究期間】
2022.4.1 ~ 2025.3.31

【研究報告サマリー】

本研究は、電子投票(インターネット投票)の導入に関する法的・社会的課題を探究した。人々は新技術に期待を寄せる一方で、操作性や情報漏洩への不安もあり、導入への賛否は分かれている。全国有権者に対するウェブ調査の結果、約7割が導入に賛成し、年齢・性別・社会経済的地位によって期待と不安の差が明らかになった。若年層・高学歴層は期待が高く、高齢層・無職者は不安が強い傾向がみられた。また、行政信頼や科学技術への評価、政治満足度などの社会的・政治的態度とも有意な関連が確認された。加えて、全国市区町村調査では、行政効率化や人材不足の解消などへの期待とともに、経験・財源不足などの構造的課題も浮かび上がった。法的側面では、投票所に行けない人の権利保障の観点から、電子投票は個人の尊厳や参政権の実現手段としても重要な意義をもつ。成果は学会報告を通じて発表済みであり、現在、総合的成果を取りまとめた英文書籍の刊行を予定している。


【本助成にかかわる成果】

デジタルデモクラシーと政治的不平等(DDPI)プロジェクト


【本助成についての感想】

3年間という、まとまった時間の中でじっくりと研究に取り組むことができ、心より感謝申し上げます。今後は、本助成の成果を順次公表しながら、この研究を土台として次の課題へとつなげていきたいと考えています。