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国際協力事業

【海外プロジェクトレポート】ネパールAPTプロジェクト「氷河湖決壊洪水警報システムの調査研究」の現地調査

現地へ向かう道中から見たヒマラヤの峰

KDDI財団は、2025年よりネパールにて、氷河湖決壊洪水警報システムの現地適応調査を、アジア太平洋電気通信共同体(APT)の支援のもとに実施しています。今回、5月10日から10日間の日程で、情報通信研究機構(以下NICT)、ネパール側の関係者との合同調査団にて現地調査を行いました。

昨今の気候変動の影響を受けて、ネパールヒマラヤ地方では氷河湖の融解が進んでおり、自然に形成された氷河湖が何らかのタイミングで決壊し、下流に甚大な被害を及ぼす氷河湖決壊洪水(Glacial Lake Outburst Flood, 以下GLOF) が深刻な課題となっています。

今回の調査は、GLOFの被害に苦しむ山村において、IoTセンサーネットワークやカメラ、エッジコンピューティング技術を活用した警報システムを考案し、実現可能性を探ることを目的とし、主管であるネパール通信情報技術省(Ministry of Communication, Information, and Technology)、現地NGO「ICT4D Nepal」、日本側エキスパートとしてNICTと協働して取り組んでいます。

調査エリアであるコシ州ソルクンブ郡マピヤ村は、首都カトマンズ東方150kmに位置し、エベレストへアプローチする谷筋にあります。カトマンズから車で10時間以上かけ、急峻な山々をいくつも越えてたどり着いた現地で目にした氷河湖決壊洪水の被害は、想像よりはるかに大きく甚大なものでした。生活物資の輸送に不可欠な幹線の橋が簡単に破壊され、周囲の土砂崩れで付近の道路も完全に流されてしまうような有様でした。

氷河湖の決壊による洪水で破壊された橋

 

洪水で川岸が削れ崩落寸前の家屋

今回の調査では川沿いに村内をくまなく調べ、センサーやカメラの設置に適した場所を探し、実現可能なシステム構成を検討しました。この調査結果をもとに、村の有識者と連携しながらシステム設計、構築を進め、2026年早々には試験システムを現地に導入する予定です。

村の有識者の皆さんと