活動報告

【調査研究助成】兵庫県立大学 栗原准教授の研究報告サマリーをご紹介します

【研究者】
兵庫県立大学 大学院情報科学研究科 栗原淳准教授

【研究テーマ】
匿名DNSの攻撃および高度化手法の研究

【研究期間】
2022年4月1日〜2025年3月31日

【研究報告サマリー】

本研究では、DNS(Domain Name System)における匿名性・プライバシの課題に対して、ネットワークアーキテクチャの観点から取り組んだ。2022年度〜2023年度は、既存の匿名化DNSが、「匿名化プロキシとターゲットリゾルバの結託」に対して脆弱である課題を解決する、新たなプロトコル「Mutualized Oblivious DNS over HTTPS (mODoH)」の提案を行った。具体的には、プロトコルの設計、オープンソースソフトウェア実装と公開、インターネット上でのテストベッド構築・運用、さらに遅延・匿名性・User Experience (UX)の観点での性能評価を実施した。結果、mODoHは、既存手法と同程度の低遅延性を担保しUXを大きく阻害しないこと、プロキシとリゾルバの結託に対して匿名性を担保することを明らかにした。2024年度はmODoHの更なる発展を狙い、 (1) 複数DNSメッセージの効率的な集約圧縮手法、(2) 匿名化を維持したまま中間プロキシ数を削減するDNSメッセージ発行手法、について設計・評価を実施し、mODoHへ組み込む検討を行った。これらにより、「ネットワークに求められる低遅延性(すなわち高いUX)」と「匿名化によるプライバシ保護」の高度な両立化を可能とする端緒を開くことができた。

【本助成にかかわる成果】

【当財団の助成を受けたご感想】

コロナ禍の中、全く予定通りに進まず、都度都度何度も計画変更しつつも、それをお認めいただき大変助かりました。本研究課題は、今後の新たな研究に繋げることができ、改めて感謝しております。