【研究者】 鈴木綾
【研究テーマ】 携帯電話電子マネーの貧困削減への影響分析
【研究期間】 2017年4月1日~2018年9月30日
【サマリー】
貧困層にも基本的金融サービスを提供するという金融包摂(Financial Inclusion)のコンセプトの下、途上国における携帯電話を介した電子マネーの可能性が近年注目を集めている。一方で、実際に誰がどのような目的でこのサービスを利用しているか等の現状は明らかではない。そこで本研究では、ガーナのアシャンティ州を事例に約550名に対する調査を複数回実施し、更に電子マネーの利用法に関する研修とコールセンターの設置という2つの社会実験を行った。収集したデータを計量経済学の手法で分析したところ、①電子マネー利用の有無は資産の多さと関連しておらず、携帯電話を持っていれば貧困層であっても利用可能であること、②電子マネー利用者の方が、他の送金手段を含む総支払額や受取額、仕送り額、小規模ビジネスや教育への投資、総貯蓄額や総消費額が高いこと、③研修への参加は、より高度な金融サービスに必要な電子マネー口座の開設の確率を有意に向上させること等が明らかとなった。
*鈴木先生のさらなるご活躍をお祈りいたします。