当財団の「調査研究助成」プログラムにて助成した研究者の方々の報告書のサマリーをご紹介いたします
【研究者】 九州大学大学院芸術工学研究院 コンテンツ・クリエーティブデザイン部門 麻生 典 助教
【研究テーマ】違法ダウンロードとインターネット規制
【研究期間 】2015.4.1〜2018.3.31
【サマリー】本研究はインターネット上の違法コンテンツ規制をどのように考えるかを検討したものである。当該規制には、コンテンツを直接利用するユーザーに対する規制と、コンテンツを提供する場を整える者に対する規制が考えられる。前者の規制は、フランス法の状況等を踏まえると、それ自体が有効な規制方策とは言えない。後者について、違法コンテンツへのリンクを規制するという価値判断が働く場合には、実質的に著作物を送信可能化するものとみなす「著作権のみなし侵害」として規定する(著作権法113条)という方策が適切である。もっとも、表現の自由の確保の観点から、違法コンテンツへのリンク設定者が営利目的を有する場合に限定するべきであり、その営利目的も、もっぱら違法コンテンツへのリンクによって広告収入などの利益を得ることを目的とする態様に限られると解すべきである。リンク先が違法コンテンツを含むことをリンク設定者が知らない場合(善意)でも、営利目的である以上、違法コンテンツへのリンクを提供すべきではないという注意義務が存在するといえることから、みなし侵害の対象とすべきである。
※麻生先生の今後ますますのご活躍をお祈りいたします。